万博ジュニアサッカースクール

北に陽を目指して「R」

2021年11月10日

背番号18 昭和52年 秋 選手大阪府予選

秋も深まった昭和52年11月12日土曜日。曇り。いよいよ筆者たちは、高校生活の中で、いや今までの人生の中で最も重要な日、全国高校サッカー選手権大阪府予選の決勝戦を迎えました。決勝戦の会場は、本町の靱(うつぼ)競技場。2年前、同じ決勝戦で摂津高校にPK負けし、筆者たちが1年生の時に涙した会場です。そして今回、決勝戦の相手は、奇しくも同じく摂津高校。筆者たちにとっては、先輩たちの仇討ちであり、是非とも前回の雪辱を果たしたいところです。

 

「うつぼで優勝しているチームのペンチは、毎年交互になってるんや。そやから今年は、入って奥の方(西側)のベンチに座ったチームが優勝するんや」 西田キャプテンのデータ分析を筆者は今でも覚えていま す。当時も、テレビ中継がありましたが、ベンチの指定がされていたか定かではありません。「取った者勝ち」 でした。摂津高校より早く到着した筆者たちが奥の方のベンチに座ったのは言うまでもありません。

また、前日にマネージャーが現地に下見に出かけており、ややこしい本町の地下鉄の出口や会場までの歩行ルートを把握していました。神は細部に宿ります。勝つためにできることは、何でもする必要があります。試合開始時間が近づくと、両校の応援団がぞくぞくとスタンドに集まり、益々緊張感が高まります。

 

そして試合開始。負けることのできない試合。それが決勝戦です。お互いに昂る気持ちを抑えながら慎重な立ち上がり。DFは序盤、ミスを無くしはっきりした確実なプレーに徹すること。MFは細かいパス交換ではなく大きな展開をしたい。FWは攻撃のリズムを作るためにシュートを打ちたい。と互いに考えることは同じです。試合は戦いです。筆者たちは、サッカーという戦いに勝つために毎日歯を食いしばり、汗を流して耐えてきたのです。この試合、唯一の得点者は、北陽のFW山本相一。そして、試合終了。高校生活で最も重要な試合、いや、それまでの人生の中で、最も重要な試合に筆者たちは1-0で勝利し、大阪代表の座を勝ち取りました。

 

「今日勝って、監督胴上げやぞ。」 と試合前に選手間で話し合っていましたが、試合終了後のどのタイミングで胴上げに行ったら良いのか分かりません。そんな筆者たちの状況を見かねてか、応援スタンドの最前列に陣取っていたOBの塩田さんが、「お前ら何してるんや。早よ監督胴上げに行かんかー。今やー」 との怒鳴り声を機に、表彰式の前に早々と野々村監督の胴上です。 野々村監督は選手たちの手で5回~6回と宙に舞ったのですが、胴上げが始まってすぐに手で顔を覆い、 涙を隠くされていたことを覚えています。

 

「地獄の閻魔大王の目にも涙」選手全員も今回は歓喜の涙です。全国高校サッカー選手権大会へ4年ぶり2回目の出場。そして、選手権大会は前年度から、開催地が大阪から首都圏開催に変更されていました。2007年7月作成。

※筆者追記・3年B組の担任、鈴木先生は体育の教官でもあり、サッカー部を熱心に応援してくれました。決勝戦の当日も、3Bの生徒全員に「お前ら、同じクラスの友達が出るのに、応援行くのは当たり前やないか。スタンドで出席とるからな。おれへん奴は体育欠点や。ええな」意気を感じるありがたい話です。(背番号19につづく)